酒造好適米「夢山水」の取り組み
〜これまでの成果と課題〜

農業総合試験場普及指導部 藤井 潔

平成11年5月
農業愛知掲載(抜粋)


 山間地向きの酒造好適米新品種「夢山水」は良質な酒米生産を通じて本県山間部の活性化に寄与できる事を祈念して命名された。今回はこれまでの夢山水の取り組み成果と課題を整理してみたい。

■女性にも好まれる香りの良い「きれいな酒」ができる
夢山水の酒米としての大きな特徴は、たんぱくの含量が低いことにある。また、胚芽がとれやすく、縦溝部分が浅いため、精米後の米に含まれるミネラルやビタミン、脂肪類も少ない。このため、夢山水で醸した酒はすっきりして雑味のない「きれいな酒」にできる。

■適地適作と品質管理により50%精米が可能で、たんぱく含量の低い高品質な夢山水を作る
先日、ある酒蔵の経営者から、「夢山水が50%まで安定して精米できるようになれば一定の評価ができる。」とのお話を伺った。精米歩合50%は「大吟醸」と表示できるラインである。50%精米が可能な夢山水を安定生産することが、山間部の夢山水を高品質の酒米として、酒蔵から認知してもらえる一つのハードルであるということだ。
 50%精米に耐えるには、まず製粒歩合が高いことが必要である。栽培方法では、夢山水にあった肥培管理により、稈長を84cm以下にして倒伏を回避し、登熟歩合を高めることが基本技術である。昨年は調製時のふるい目を兵庫県の山田錦と同じ2.0mmに高めたことにより、虫害・穂発芽の被害を受けた一部を除いてほとんどが検査1等に合格できた。2.0mm調製は品質管理の基本技術である。製粒歩合は75〜80%を目指したい。粒大については千粒重27gを目標としたい。また、過肥を避けて玄米たんぱく含量を7.0%以下に抑えて低たんぱくの特性を発揮させたい。兵庫県の山田錦の単収は400kg程度である。夢山水も高品質生産を前提とすれば単収目標は450kg程度であろう。酒米にとっての大敵は刈遅れと急激乾燥と過乾燥である。どれも精白時の砕米の発生を助長する。このため、黄化もみ歩合85〜90%の範囲で適期収穫し、、急激な乾燥を避け、仕上げ水分は、15.0%とすることを厳守したい。
 心白の形状と粒大の安定性からみて、夢山水の栽培に最も適するのは標高500〜650mの産地である。この標高より高い津具村では日当たりなどの条件の良い温暖な地区で栽培し、健苗の育苗と移植後の水管理によって活着を早め、安全出穂限界までに必ず出穂させることによって粒大を確保することが必要である。また、500m以下の地帯では、移植時期を遅らせることにより、登熟期間の気温を低くして心白を必要以上に大きくさせない工夫が必要である。
 高品質な夢山水を供給し酒蔵に評価されることから夢の実現が始まることを皆が意識統一したい。


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